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独自の幼児教育方針ではぐくむ才能

少子化の加速により利用者減に悩む保育業界で、設立以来約70年、異彩を放ち続ける幼稚園がある。ひかり学園(川崎市川崎区貝塚)は、オリジナルの薄着教育や漢字教育、音感教育などを実践。卒園時にはマラソン2キロメートルを10分以内で完走できたり、漢字200文字以上を習得したり、跳び箱10段が跳べるようになったりする子どもがいる。相次ぐ才能開花が保護者間で話題となり、遠方から通う子どもも。「環境を整え、正しい方法で教え、多く訓練すれば子どもの能力は育ちます」と、松本王干園長は目を輝かせる。

「環境を整え、正しく教える」

■過保護をやめる

市内で2カ所展開。年少から年長まで、園児の数は420人ほど。中には片道1時間以上かけて通園する子どももいる。

だが、松本園長は「何も特別なことはしていません。長年の実践や研究で証明されている幼児教育法を取り入れています」。少ない子どもを大切にという風潮にも「大切にする、イコール過保護にするではありません」と、きっぱり。

同園では、薄着教育を実践。寒い日にもタイツやセーター、コートを着込んで冷やさないようにするのではなく、薄着や裸となることで“寒さ”を体感する。すると、温かくなるために運動したり発声したり、体を活発に動かすようになるという。身体を温めるだけでなく運動能力の向上にもつながる。

■漢字を遊びで

もう一つの特徴は漢字教育。より深く確かな日本語の知識を習得するには、漢字が欠かせないとする。「日本語には同音異義語が多く、同じ読み方でも漢字ではいくつもの表現ができます。(漢字を)身に付ければ語彙が豊富になり、表現も豊かになります」

具体的には、フラッシュカードを使い、幼児の成長に応じて脳に刺激を与え潜在意識を開花させる「ドーマン・メソッド」のほか、教育学博士・石井勲氏が50年以上実践した言葉の教育法「石井式漢字教育」などのエッセンスを採用。オリジナルの漢字教育を提供する。

子どもたちは、日々のさまざまな遊びの中で漢字を取り入れ、視覚や聴覚をフル活用しながら遊び、漢字と触れ合うという。

卒園までに触れる漢字は200文字以上。松本園長は「漢字教育を始めて50年以上になります。昔、子どもを通わせていたお母さんの口コミで来てくれるお子さんもいます」と話している。

(2023年5月号掲載)