海外注目企業・海外ベンチャー

AIデータセンターを支える台湾発のキーコンポーネント

台湾のAuthenX(合聖科技、新竹県)は、2019年9月に設立された光電子ソリューション企業。AI(人工知能)データセンターやエッジコンピューティング(AIEdge Computing)、Beyond 5Gなどの先端技術・製品へのニーズに対応し、これらの分野におけるキーコンポーネントの設計開発・生産を手掛けている。

日本の大手とも連携・共同開発

社員数は32人と決して大きくはないものの、そのうち6割以上が修士号以上を取得する研究開発(R&D)型企業。日本の大手通信系企業も同社に着目し、連携や共同開発を進めているという。

急激に進化するAI技術だが、中でも生成AIや大規模言語モデル(LLM)の急速な進化と普及に伴い、それらのモデルの学習・運用に必要な膨大な計算処理能力を支える「AIデータセンター」へのニーズが世界的に高まっている。

データセンターでは、プロセッサの性能向上だけでなく、それらをつなぐネットワークの帯域幅や低遅延、エネルギー効率が求められる。

同社の主力製品の一つである「2Dファイバーアレイパッケージング用メタレンズ」は、こうしたニーズを満たすとして注目されている。

同製品は「メタレンズ」と「2Dファイバーアレイ」という2つの要素を組み合わせたもので、データセンター内における膨大な通信処理で高密度な光伝送を可能にし、結果として低消費電力にもつなげるという。

メタレンズは、従来のガラスを研磨して作る曲面レンズとは異なり、平面の基板上にナノスケールの微細な構造物を精密に配置して作られる人工的な光学素子だが、同製品はパッケージ効率を従来比20倍に飛躍的に向上させるなど、独自設計を施している。

2026年中の量産を目指しており、「量産体制の構築とともに日本の顧客との関係を深めていきたいです」(張正陽=デビッド・チャンCTO)と話している。

(2025年8月号掲載、オンライン取材)