金属加工・樹脂加工・その他加工

3次元測定受託、自社技術を活用

精密金属加工、進和精機(東京都大田区南六郷)は、自社のノウハウを活用した3次元測定受託サービスに力を入れている。温度管理された測定室で行う測定受託のほか、最終加工が必要な部品であれば加工前後の測定付きで自社設備で加工。希望により測定機の校正証明書も添付する。もともと品質に厳しい自動車業界など向けに、ミクロン単位の試作に特化してきたことから「設備も技術、ノウハウもこの規模では他にはないスペックです」と、松下力社長は胸を張る。今後はリバースエンジニアリング部品や3Dプリンター造形品など、測定受託ニーズを掘り起こす。

職人技術に営業力を加えて成長

■不良ゼロを実現

1960年の創業以来、金型木型設計や自動車業界向け機構部品など、ニッチ分野の試作を手掛ける。

5軸加工機や複合加工機でミクロン単位の精密加工を行ってきたことから、品質担保のための検査体制を徹底。年間を通して温度管理された測定室から出荷される部品は「不良ゼロ」を実現する。

「測定室を常時一定(室温20度)の環境にしています。持ち込まれた部品があれば、最低でも1日は室内環境に置きます」と松下社長は明かす。

加工したばかりの部品は熱を持ち膨張しているが、時間とともに縮むこともある。一定時間測定室の環境に置くことで、正しい状態で測定ができるという。

「かつてはこういったことも、職人の勘と経験でやっていました。室温管理しなくても熱膨張や縮み幅を頭の中で計算した上で、検査をしていました。ただ、ノウハウの継承や受託サービスの需要拡大のためには“平準化”も必要です」(松下社長)。

■グループ化で強み発揮

2023年12月、製造業向け商社であるニッカル商工のグループ企業となった。

「ニッカル商工には、今後売るだけでは生き残れない、新たな道を切り開くために自社でものづくりをしたいという強い気持ちがありました」と、同社代表でもある松下社長。

一方、グループ化前の進和精機は職人2人体制であったため、機械を止めないようにするため新規営業になかなか出られないという悩みがあった。

両社が生き残りと成長の道を模索する中、情報交換を重ねてグループ化が実現した。ニッカル商工にとっては、モノづくり目線を持った商社への転身の一歩となり、進和精機も自社技術を用途開拓するための営業力が得られたという。

(2024年5月号掲載)