金属加工・樹脂加工・その他加工

CFRPで高付加価値化の実現を

エーシーエム(ACM、横浜市都筑区川和町)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用して、ものづくりの付加価値を高めたいとする中小企業を対象にしたサポート事業を始めた。CFRPで軽量化・高機能化を図ろうとする部品や複合部品に対し、設計から加工、製造までをワンストップで引き受ける。CFRPは歴史こそ浅いものの、鉄よりはるかに軽く、強度も自由自在にできる高機能材料。航空宇宙関係やロボット分野などでも普及し、今後の用途拡大が期待されている。

ACM、中小対象に設計から加工まで

稲垣公弥社長によると、CFRPには強度などが違う材料が100以上あるが、強度や高剛性(たわみにくさ)などの機能は、その組み合わせによって自由に変えられる。鉄より5分の1軽く、強度を2倍持たせることも可能という。

ただ、CFRPに関連した設計や加工ノウハウがある企業は全国でも数少ない。その点、同社は約20年CFRPを扱っているため、お客さんの要望に応じた設計提案ができる。

お客さんへのヒアリング後、CFRP用原料素材(プリプレグシート)を素材メーカーから購入。積層設計して成形、機械加工、接合・組み立て、検査までをトータルで請け負う。「一度CFRPのよさを知ったら金属に戻れないお客さんもいます」と稲垣社長は話している。

■期待される市場拡大

CFRPの世界市場は、日本の材料メーカーが高シェアを占め、市場も拡大傾向にある。自動車業界では独BMWの電気自動車「i3」がボディをCFRP製にしたことも話題になったが、国内の普及はこれからとされる。

「自動車では軽量化による燃費向上が期待できます。CFRPは錆びなかったり、金属疲労がなかったりするのも強みです。脱炭素の動きがある中で、今後もさまざまな分野で広まるでしょう」と、稲垣社長は説明する。

ただ、CFRPはまだ材料コストが高いため、同社の場合、最初から「CFRPありき」ではなく、目的に応じて、アルミやGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)で代替できるものがあれば、合わせて提案するという。

(2022年2月号掲載)