機器・装置・製品/ロボット

高速・高精度な降雨観測 数百キロをとらえる気象レーダ

東芝防衛・電波システム事業部の小向工場と東芝電波テクノロジーは、半径数百キロに及ぶ広範囲な降雨状況を高速かつ高精度に観測できる「C帯固体化二重偏波気象レーダ」を開発した。パラボラアンテナの大型化で観測できる範囲を広域化するとともに、水平方向と垂直方向の2種類の電波を同時に発射してより精度の高い観測を可能にした。さらに電波の増幅部品を真空管から半導体に置き換えることで、観測速度を速めながらランニングコストなどを軽減することにも成功した。従来型の気象レーダで同様の観測を行った場合と比較して約58%のCO2排出量を削減し、「川崎CNブランド2025」に認定された。

ランニングコストも軽減

気象レーダは、パラボラアンテナを回転させながら電波を発射し、その電波が戻ってくるまでの時間や強さ、周波数の変化から降水粒子の分布状態を観測する。

C帯固体化二重偏波気象レーダ

普段の降水予測だけでなく、近年激増しているゲリラ豪雨など局地的大雨を捉える上でも不可欠な装置となっている。大雨による災害が激甚化するなか、より正確な降水量を迅速に把握できる気象レーダが求められていた。

「C帯固体化二重偏波気象レーダ」は、GHz5(C帯)のマイクロ波を、大型化したパラボラアンテナから従来の水平方向だけでなく垂直方向にも同時に飛ばし、雨粒などに反射して戻ってくる2種類のマイクロ波の違いを解析することで、これまでの気象レーダではつかみ難かった雲のなかの雨や雪、あられ、ひょうといった多様な降水粒子の分布状況を高精度に推定する。

広域の降雨状況を高速かつ高精度に観測

さらにレーダの増幅部品を、従来の真空管から半導体へ置き換えることで部品交換の手間を軽減、併せて観測速度を速めた。短時間に発達してゲリラ豪雨をもたらして消滅する積乱雲の様子も正確に捉えることが可能になった。

製造に当たってはカーボンニュートラル都市ガスや非化石証書付電力を使用することで脱炭素化にも配慮した。気象庁が全国に設置している気象レーダの一部をリプレイスするかたちで導入を進めている。

東芝電波テクノロジー電波システム営業部電波営業第二担当の水谷文彦課長は「今回の認定は当社にとって初めての受賞。これを弾みに、東芝グループの経営理念である『人と、地球の、明日のために。』に沿う製品をつくり続けていきたいです」と語っている。