住まいの産業 / ライフサイエンス

高級寝具を個人向けにレンタル

マツヤ(東京都大田区西糀谷)は、プレミアム寝具の個人向けレンタル事業を拡大する。貸し布団で創業52年の経験とクリーニング工場、乾燥車を自社保有する設備力を生かし、高品質で清潔な寝具を提供。都心のタワーマンションなど寝具の収納スペースがない生活者のニーズを開拓する。「本当に良い布団は寝心地がまったく違います。ぜひ体験してほしいです」と松原淳一郎社長は話している。

タワマンに清潔で快適な「眠り」

■寝心地を体験して

「天使のふとんプレミアム」は、3層構造の敷き布団と羽毛の掛布団に枕やシーツ、デザイン性の高い布団カバー、冬場は毛布もセットにして届ける。

旅館などで使うグレードの通常の貸し布団が1組3泊までで5500円からなのに対し、プレミアムは1組7泊までで1万2650円からと設定。これにより、週末しか時間が取れず土曜に借りて翌週土曜に返す顧客が多いことに対応するほか、高級寝具の寝心地を長期間体験してもらうことも狙う。

1972年創業。大田区内に本社のほか、クリーニング工場と2つの倉庫、2台の移動式布団乾燥車を保有する。

「駐車場で干すだけ」といった低料金の業者とは異なり、布団の丸洗いや高温処理により快適に安眠できる寝具を提供している。新規需要を開拓するためホームページを刷新、タワーマンションのエントランスに資料を置くなどの工夫も始めた。

■売上高3倍に

ピーク時に関東で40社以上あった貸し布団業者は、現在は20社余りに半減。布団の低価格化でレンタルの需要が減少する中、布団の倉庫をマンションに建て替えて廃業するケースが多いという。

しかし、マツヤでは二代目の松原淳一郎社長がホームページを強化するなどして、顧客からの引き合いを増やした。さらに布団の出張乾燥や、丸洗い後の真空パック加工、企業向け防災用備蓄毛布など新サービスを展開する。

加えて、7台の配送用ワゴンや2台目を導入した布団乾燥車を保有、きめ細かい顧客対応が評価され社長就任から10年余りで売上高を3倍に拡大している。

(2024年6月号掲載)