二幸技研(川崎市宮前区土橋)は、ナイロン注型用の注型材「3NI-NYLON」を開発した。金型を使わずシリコン型に真空注型することで、ナイロン製品を生産する手法だ。特許も取得済み。「試作開発の迅速化につながる革新的な技術です。自動車業界以外にも用途開拓が見込めます」と秀倉裕嗣社長。付加価値の高い技術の普及で、製造業の国内回帰にも貢献したい考えだ。
製造業の国内回帰にも貢献
車体や部品の軽量化が進む自動車業界では、樹脂製部品のニーズが高まっている。ナイロン注型は現在主流となっているウレタン注型と比べ、高機能な部品を短納期で、かつコスト削減しながら製作できる。
そうした機能性やコストメリットから、ウレタンではできなかった部品への応用や金属部品の代替として導入されているが、手掛けられる企業は国内でも数社という。
同社は2009年に海外製装置を導入し、ナイロン注型を手掛けるようになった。原料を使いこなすまでに数年かかったという。そこで、四季による変化が大きい日本の環境でも安定して使えるよう、熱可塑性樹脂の「6ナイロン」を原料とした注型材の開発にこぎ着けた。
強度を上げたい場合には30%までガラスを添加できる。高強度かつ耐熱性、耐薬品性を持ち合わせたナイロン製品の製造が可能になるという。
「(ウレタン注型のように)競合の多い技術だと、取引先の新規開拓は難しいですが、新技術を開発したことで、単独で営業してもつながれないような大手メーカーとの直接取引もできるようになりました」と秀倉社長。
自社の技術開拓の中で生み出された注型材を、今後同業他社にも広めていきたいとしている。