地域のお祭りから有名ミュージシャンの屋外コンサート...。さまざまなイベントを“音”で支える会社が川崎市内にある。音響制作会社、artical(アーティカル、川崎区四谷下町)は、あらゆる楽器やボーカルの音を一つにまとめる「ミキシング」の技術者集団だ。イベントが軒並み中止となったコロナ禍から見事に復活を遂げ、今では全国で年間200件以上の現場をこなす。
関連会社を設立、開発を内製化
2010年に大阪で創業した同社は、川崎との2拠点で事業を展開している。
音楽におけるミキシングとは、あらゆる楽器の音源を組み合わせて最終的にまとめるプロセスのこと。同社は風や周囲の騒音、天候などの影響を受けやすい屋外、大規模会場を得意としており、スピーカーのレイアウトから設計する。
有名アーティストによる日本武道館や横浜スタジアムでのコンサートなど、大規模会場での実績も豊富だ。
濵田正一社長は「一発勝負で失敗が許されない世界です。ずっとテレビの生放送をしている感覚です」と緊張感を語る一方、「終わった時の充実感が一番のやりがいです」と笑顔を見せる。
20人のスタッフのうち7〜8割がミキシングのできる技術者。「とにかくミキシングエンジニアの技術が高く、そんな人材を何人も抱えているのが強みです」と胸を張る。新卒採用者も2、3年かけて現場で通用するレベルにまで育成するという。
現在は多忙を極める同社だが、コロナ禍で受けた影響は計り知れないものがあった。屋外フェスやライブは集団感染(クラスター)を招く恐れがあるとして相次いで中止となったことは記憶に新しい。当然、同社も受注がゼロになった。
しかし、シェイクスピアの「明けない夜はない」という名言のように、濵田社長はしっかりと終息後を見据えていた。
「抑制された時期が長ければ長いほど、その後のリバウンド需要があることは分かっていました」と、人員削減や給与カットは一切行わず、むしろ新卒採用も継続。加えて、機材投資も行うなど、攻めの経営を続けた。





