微小な液滴を対象物に接触させず吐出するインクジェット技術は印刷領域からさまざまな産業領域に応用範囲が広がる。インクジェットソリューションを提供する韓国企業、ENJET(京畿道)は、電気流体力学(EHD)を利用した技術で高粘度・高解像度の吐出技術を実現させた。ノズルを高性能化したインクジェットヘッドを開発し、日本市場への浸透も目指す。
半導体リペアの需要に対応
インクジェット技術の設備や部品、材料などを供給しており、材料の開発から設備供給まで一貫して対応。主力はノズルやプリントヘッドの部品。工程装備としてはPCB、TGV、マイクロLEDリペアなどが主力になっている。
現在のインクジェット技術は、圧電素子(ピエゾ素子)の体積変化を利用してインク粒をノズルから吐出する方式などが従来型となっている。これに対して、EHDは電界を利用して液体を引っ張り出すメカニズムだ。
EHDでは高粘度のインクを扱うことができ、ピエゾインクジェットに比べて液滴体積基準で数千分の1の高解像度が実現可能で、吐出されたインクの安定性も高いという。
辺渡泳(ピョン・ドヨン)CEOは電気流体工学の研究者。韓国の名門、成均館大の教授でもあり、150本以上の論文執筆や100件以上の特許取得の経験を持つ。
研究と並行して、次世代技術の商業化構想を実現させるため、起業した。「高度な印刷ハード、AI制御のソフト、製造ソリューションを組み合わせて、包括的なプラットフォーム企業への進化を目指します」と意気込む。
EHD技術による高精度・高解像度の特性について、「今後は半導体関連のリペアの需要が高まる」と展望する。ガラス基盤(TGV)のリペアやフォトレジストのパターニングなどへの活用を見込む。EHDとピエゾのハイブリッド型となるマルチノズルも開発した。
2009年に創業。本社機能の水原(スウォン)に加え、中国、米国、台湾にも拠点を持つ。2022年には韓国KOSDAQ市場への上場も果たした。
ピョンCEOは「日本は材料の供給力が強い。ウィン・ウィンの協力関係を築きたいです」と話している。





