キュー・アイ(横浜市金沢区福浦)は、最長で6時間連続で航行できる水中ドローン(ROV)を開発した。独自構造により、スラスター(駆動装置)の搭載数を減らし小型化。水中では3軸で安定制御すると同時に、真横移動も可能だ。フルハイビジョンカメラ搭載。ダムや水中建造物といった、人が立ち入れない場所での検査を想定するほか、水難救助などにも使えるという。
キュー・アイ、ダムや水難救助など想定
「スラスター配置を含めた独特の機体形状は、世の中にないものです」と豊島雄樹・技術開発部主任は胸を張る。
通常の水中ドローンの場合、スラスターは6基か8基必要なのに対し、同機は5基。それでも自動制御しながら、毎秒1メートル(2ノット)で移動する。本体の突き出し部分をなくし、余計なものが入り込まず水流だけが逃げるという独自構造、そしてスラスター配置を工夫することで実現した。
重さ12・5キロで、バッテリー2基内蔵。「従来機より2倍の航行時間があります。バッテリーはすぐに交換できるようになっているので、1日中の航行も可能です」(豊島主任)という。航行中は鮮明なフルハイビジョンで確認し、機体の真下の映像まで見られる。
また、超音波を使って対象物までの距離を認識するオプションの「超音波距離センサー」を搭載すれば、ROVに活動させたい水中空間の情報を入力しておくことで、自動航行しながらスクリーニングできる。価格は標準機で230万円から。環境調査会社や大学などに売り込み、初年度5台、2年目以降は年間10台の販売を見込む。
同社はインフラ点検や海中探査など、さまざまな用途に合わせたテレビロボットを製造販売。1971年の創業以来、これまで納入したテレビロボは1000台に上る。
また、県の「さがみロボット産業特区」の重点プロジェクトにも採択。同社のロボットも相模原の城山ダムに投入されている。ダムの老朽化や人手不足に対応するのが狙いで、同装置も使われる予定だ。