金属加工・樹脂加工・その他加工

金属箔部品の量産受託を拡大 顧客の求める形状に加工

リカザイ(川崎市中原区下沼部)は、金属箔(はく)製造でニッチトップの強みを生かし、金属箔を使った部品の量産受託事業を拡大する。顧客企業が希望する形状に加工した金属箔を納品するもので、顧客企業にとっては生産活動の一部をアウトソーシングする形となる。事業拡大に向け人員採用を強化するため、オフィス環境の整備や時短、賃上げなど気持ちよく働ける環境整備を進める。

賃上げで人員採用も強化

1947年設立の金属箔製造会社で、社員は27人(パート含む)。金属材料に圧延加工を繰り返して、家庭用アルミホイルの10分の1に当たる厚さ1マイクロメートル級の金属箔に加工する。

金属のインゴットを温間圧延で厚さ1ミリメートル程度にしてから、酸化を避けるため手作業の冷間圧延を繰り返して極薄に仕上げるなど加工ノウハウを持つ。

材料はステンレス、アルミ、チタン、銅など一般的な金属のほか、純マグネシウムなどほとんどの金属に対応。加工できないのは特殊で割れやすいタングステン程度という。

現在の顧客は200社以上で、受注の8割が研究開発向け。電極やフィルター、振動板など公的研究機関の特殊な研究装置の部品や、電機メーカーの次期製品の試作・基礎研究用に使われている。

極薄の金属箔は取り扱いが難しいため、ワッシャー形状などに二次加工して納品するケースが増えていることから、金属箔を使った量産部品の受託生産に事業を広げる。エッチング・レーザー加工や自社での熱処理など、ノウハウの蓄積を生かし部品に適した加工を行う。

本社・工場は、JRと東急の武蔵小杉駅に近接する一等地に立地し、賃貸マンションと融合した次世代オフィスとなっている。

工場内は金属箔を安定して超精密加工するため「クラス10000」相当のクリーンルーム環境を整え、空調設備で24時間室温を保つ。

執務室は座席を定めないフリーアドレス制。2024年4月から勤務時間を30分短縮し、初任給を中心に賃上げも実施した。

小室好夫社長は「創業から77年の経験があり、金属の種類ごとに最も良い材料を仕入れる取引先も熟知しています」という。

経営執行責任者で7年前に大手半導体メーカーから転じた有賀成一取締役は「技術を生かした量産受託を2~3件受注できれば」と話している。

(2024年8月号掲載)