樋口製作所(川崎市宮前区西野川)は、小規模ながらも金属加工をオールマイティーでこなす。プレスと板金の両方の加工技術を持ち合わせるだけでなく、レーザー加工やヘラ絞りまでワンストップで受託。そんな同社の屋台骨となるのは、樋口鉄也社長と、姉である金子康子常務の存在。きょうだいの連携により、納期とコスト競争力に優れたものづくりを実践する。
きょうだいの連携で競争力発揮
樋口社長は、物心ついた時から、父が創業した同社に出入り。プレス機を動かす父の背中を見てきたという。現在、父から受け継いだプレス技術のほか、板金、レーザー加工、ヘラ絞りなど実に多様な技術を身に付ける。姉の金子常務はCADを使いこなし、主に図面設計を手掛けている。
気心が知れたきょうだいが連携することで、ハイレベルな生産性を発揮。従業員数5人の町工場ながらも、「イメージをカタチにできる」とする総合力を実現する。少ない人数、しかも外注する工程が少ないだけに、納期やコスト競争力に自信を持っているという。
工場では板金による試作から、プレス加工での量産まで一貫対応が可能。量産時の部品製造数に合わせ、適切な加工法を見極めているという。時には、依頼された図面から、より効率良い方法があれば工法提案もする。
人件費や物流費が上昇する中、海外生産するよりも国内生産の方が、納期・コストの両面で勝るケースが出てきている。それに伴い、同社への発注も増えてきたという。
「国内回帰を考える企業や、取引先の廃業などで新たな発注先を探している企業からの問い合わせがあります」と樋口社長は語る。