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金属加工に植物由来の切削油を

金属加工のプロセスでは、加工する素材と切削工具の間で生じる摩擦を低減させるため、切削油剤が使われる。刃先を潤滑にし、冷却効果も得られる。台湾の専業メーカー、美科科技(MCM、桃園市)は、植物由来の油を原料にした切削油を開発、環境への親和性をアピールして市場への浸透を狙う。

環境配慮型製品をアピール

切削油の従来型製品は鉱物油を原料にしたものが多い。引火点が低い上、吸引すれば人体にも影響を及ぼすなどの問題点があった。

植物由来の原料を使うことでこうした問題は解決でき、カーボンニュートラルにも効果が見込める。楊美斐董事長は「東洋の料理で残った油をヒントに、植物由来の潤滑油を工業向けに開発できるのでは、という発想で創業した」。

2003年に創業。台湾のほか、中国・江蘇省にも工場を構える。製品が活用される産業は航空、輸送機、半導体、エレクトロニクスなど多様。

中国の拠点は中国市場向けだが、今後は東南アジア領域への浸透も狙い、台湾での研究開発機能の向上に注力する方針だ。

「日本市場は非常に魅力的。環境型製品に関心を持つパートナーと提携をしたい」として、日本企業との関係構築も模索する。

(2024年8月号掲載)