地域の話題のお店

野菜の数だけキムチがある

野菜の数だけキムチがある―。おつけもの慶(川崎市川崎区大島上町)が、地元野菜とのコラボを進めている。地元にゆかりの深い食材を使った、季節ごとの“川崎生まれのキムチ”を次々と開発。直営店5店舗と催事会場、オンラインサイトなどで販売する。直営店や催事では、用意した当日分が完売することも多いという。

“川崎産”とコラボ、農業活性化に一役

きっかけは、渥美和幸社長が食べ、おいしさに感激したという「のらぼう菜」。鎌倉時代に川崎に伝来したというアブラナ科の一種で、1年のうち2~4月の短い期間しか取れない希少な地場野菜とされてきた。

のらぼう菜を使い、旬の時期に取れた分だけの数量限定キムチとして、おつけもの慶で販売したところ好評だったという。

2019年、地域特産物マイスターだった就農歴約70年の故・高橋孝次さんが作った、のらぼう菜と出会い、春限定のキムチとした。高橋さんは今年初めに亡くなったが、その思いは途絶えることなく、今春もマイスターの畑で育てたのらぼう菜を使ったキムチを、店頭に並べた。

■発酵食品普及も

青果店を母体とする同社の渥美社長は、自ら農家を直接訪ねて生産者と契約、キムチ作りをしている。

のらぼう菜や白菜キムチ、イカキムチなどの定番以外にも、川崎生まれの新品種唐辛子「香辛子」、購入した土地で発見された防空壕から生まれた「きくらげ」など、地元食材を採用している。

「川崎は都市農家が多い地域です。生産量は少なくても、こだわり野菜を作る農家が多いと思います」と渥美社長。キムチで地元農業を盛り上げようとしている。

(2021年6月号掲載)