マキナエンジニアリング(川崎市高津区宇奈根)は、自社ブランド製品事業を拡大する。第1弾製品の「セキュリティキャビネット」が川崎市の2024年度「川崎ものづくりブランド」に認定されたことを受け、医療機関での薬剤保管など重要物品の在庫管理システムとして販売を本格化していく。主力の金融機関向け現金取り扱い機器、省力化機器開発受託に続く経営の第三の柱に育てる。
認証・セキュリティ技術を応用
「セキュリティキャビネット」は、重要物品の保管庫。金融機関向け機器で蓄積した認証技術や動作のセキュリティ確保技術を応用して開発した。
制御部は物品を出し入れする人物を撮影するだけでなく、信頼性が高い手のひら静脈認証やICカード・パスワード管理との併用により認証する。
物品を入れるボックス部は、重量を0.1グラム単位で計測して出し入れを把握。その物品にはICタグを付けての単品管理もできる。
病院での医薬品管理のほか、製造業では劇薬の薬剤管理、警察などの官庁では証拠品や重要書類の管理など、幅広く想定。扱う物品により、ボックス内での冷蔵管理も可能だ。
また、物品を出し入れした人物や量も履歴として自動保存され、記録データはパソコンに接続して管理できるという。
制御ユニットと拡張ユニットともにサイズは幅425×奥行き445×高さ1600ミリ。用途に応じて拡張ユニットの増減も可能。価格は仕様により異なるが、制御ユニットと拡張ユニット一つで100万円程度。
同社は大手電機メーカーのスタッフが1982年に独立した企業で、社員数は60人。現金自動預払機(ATM)や硬貨収納出金装置などを設計し、協力会社で製造された部品を最終組み立てしている。
キャッシュレス化の進展により、金融機関向け機器は大きな成長を見込めないことから、技術を応用した他産業向け機器の受託開発に進出。物流業界向けの「伝票仕分け装置」や、ICタグによる「出庫管理装置」などが全社売上高の約3割に拡大してきている。
浦尾貢社長は「新紙幣対応など主力事業が好調なうちに受託開発事業と利益率の高い自社ブランド製品事業を拡大したいです」と話している。