MEMOテクノス(相模原市南区大野台)は「身の丈I o T 」を実現するツールを開発した。初期費用2 万円台、ランニングコストゼロでIoTが始められるもので、中小・小規模企業への普及を目指す。人材不足解消や生産性向上に向け期待されるIoTだが、導入コストが高いことなどを理由に、中小企業には普及していない。そこで、どんなに小規模な企業でも実践できる低価格でシンプルな「身の丈IoT」に着目した。

中小・小規模企業に普及へ

「μ³(マイクロキューブ)」と名付けた同製品は、手のひらサイズのIoTデバイス(通信ゲートウェイ)。別売りの電流センサー、人感センサーなどと併用する。活用法はさまざまだ。

例えば店舗の場合、入り口に人感センサーとμ³ をつなげる。そうすれば、店から離れた場所にいても、人が入ってきたことを感知したセンサー情報をμ³ がインターネットでパソコンやスマートフォンに知らせる。

また、無料利用できるインターネット上のデータロギングサービスを活用することで、お客さんの来店時間など、人感センサーから得たデータを蓄積・分析することも可能だ。

一方、町工場で想定できる簡単な活用法は、工作機械に電流センサーとμ³ を取り付ける。これにより、機械が動いているときに外出しても、機械がストップするなど、電流に異常が発生したら通知される。稼働データを収集することで、稼動していない無駄な時間や、機械に不具合の兆候がないかも見られる。

センサーはこのほかにも、温度・湿度、圧力、照度などを監視できる多くの種類があり、それに伴い、使い方は無限大という。

■働き方改革にも

μ³ の価格は2万9800円(税別)から。複数のセンサーと接続できる高価なタイプではなく、あえて「1センサーにつきμ³ が1個」というシンプルな構造にしたことで低価格を実現した。

同社の渡邊将文社長は「中小・小規模企業にIoTが普及しないのは、効果が分からないことに対し、高い導入費用をかけたくないからだと思います。ただ、2~3万円ならやってみようという感覚になります。ニッチな分野ですが、IoTは働き方改革にもつながるはずです」と話している。

(2019年2月号掲載)