金属加工・樹脂加工・その他加工

超硬合金の精密加工、自由自在

大森精機(横浜市港北区新羽町)は、超硬合金の精密加工を展開する。炭化タングステンやコバルトで組成される超硬合金は、その硬度から耐摩耗性を必要とする切削工具や金型に使われる。ただ、工具や金具にするための精密加工・研磨の難易度は高いとされる。同社は200倍拡大鏡でも欠けがないほどの磨きの技術を持つことからオンリーワンとされ、車関係や刃物関係大手からの引き合いが多く寄せられているという。

半数以上が熟練多能工

超硬合金は、自動車の塗装ラインに組み込まれるバルブのほか、ドリルのガイドなど、耐摩耗性が必要とされ、錆(さび)が発生しやすい部分の部品に使われる。

ただ、精密加工するには、特定の形状に特化する企業が多いという。

その点、同社は穴の加工だけでなく、平面や円筒などあらゆる形状に対応。その秘訣(ひけつ)は、職人のうち半数以上が「経験20年以上」とする熟練多能工の存在だという。

■ほぼ社内完結

多品種少量生産。超硬合金は材質の性質上、似たようなものでも微妙に仕様の違うものが多い。「量産品のように、同じものの数をこなすことで技術を磨くことができない分野です」と向山仁志社長は語る。

一つでも多く案件をこなしてきたことで技術力が向上。今では一人当たり4台相当の状態で機械を操る。しかも、内製化を進めるため、超硬合金に関する受注案件はほぼ社内完結という。

一方で向山社長は協業の必要性も強調する。「今後は製造業同士の協業も大切です。互いの強みを発揮するためにも餅は餅屋という考え方で他社との連携も進めていきたいと考えています」と話している。

(2023年10月号掲載)