住まいの産業 / ライフサイエンス

レクリエーションのメニュー充実、評判のデイサービス

かみやま(川崎市中原区宮内)は、武蔵小杉駅近郊の住宅街で通所介護(デイサービス)施設「こはるびより」を運営する。利用者を集めて動物園やショッピングセンターへ出かける「外出レク」など、施設運営側には負担が大きいレクリエーション活動のメニューを充実させ、地域の高齢者・家族やケアマネに評価されている。休館日の毎月第4日曜日には子ども食堂を開くなど、地域の福祉活動にも取り組んでいる。

地域のために子ども食堂も

「こはるびより」は定員30人。塗り絵など標準的な機能回復訓練のほか、本格的なトレーニングマシンによる筋力維持、最新のカラオケ設備による毎日1時間、1人1曲の歌唱披露などメニューが充実している。

なかでも外出レクは年3回実施し、いつもの送迎車で近隣の動物園や新聞印刷工場の見学に出かけたり、川崎大師への初詣や海ほたるまで遠出するなど、ほぼ毎回違う目的地を企画する。

施設外の活動は介護保険の規定に基づきスタッフを増員する必要があるが、「みなさん久しぶりの外出がうれしく、先に何があるんだろうと大いに考えるので最高の機能訓練になります」と、神山和明社長。生き生きと土産話をする姿を見た家族からの評価も高いという。

同社は2018年に設立。同じ場所にあった介護施設の運営が厳しくなり、スタッフだった神山社長が独立して引き継ぎ経営改革を進めてきた。

介護保険制度はサービス内容や料金が厳密に決められている中、資格を持つスタッフの確保などで施設の評価点を高めるとともに、行政と連絡を密にしながらも外出レクなど新たな試みを一つずつ実現してきた。

子ども食堂はコロナ禍の2021年に開始。近くの小学校の先生から、給食がない休日の食事に困る子どもの話を聞き、地域のスーパーや飲食店に声をかけて食材を確保した。

「みんなのこはるびより食堂」と名付け、食事だけでなくお菓子を食べながらゲームを楽しむなど、会話ができる場所づくりを心がける。

23年10月には別会社を設立して介護・医療の配食サービスも展開。通所介護事業と合わせて経営の安定を図っている。

介護保険制度は報酬見直しなどで小規模事業者の経営難が指摘されている。そのなかで同社は「利用者のみなさんの笑顔や喜ぶ姿がモチベーションです」(同)と話し、サービスの充実に取り組む。

(2025年5月掲載)