デジタル・トランスフォーメーション(DX)化に対する機運が高まる中、吉岡精工(横浜市鶴見区末広町)は、IoT(モノのインターネット)センサーを、新旧問わず全生産設備に設置することで、これまではカウントしていなかった「ならし運転の時間」や「確認のために作業者が装置前にいる時間」「段取り時間」までも算出。収集したデータを「真の稼働時間・稼働率」(加藤誠司常務)と位置付け、生産性向上を図っている。
DX化で生産性向上図る
半導体の製造工程に欠かせない「ポーラスチャック」を製造販売。半導体材料のシリコンウエハーやフィルムなどの被測定物を吸着し、高精度の平面平行度で固定するためのもので、現在、約200種類を生産している。
工場では従来、各部品の生産開始と終了時間をバーコードで記録、管理していた。しかし、設備の稼働時間と稼働率を厳密に把握するためには、電源を入れてから段取りにかかるまでの時間や、ならし運転(暖機運転)、人がその作業をするために装置にかかる時間なども知る必要がある。
こうした時間を短縮したり、有効活用したりすれば、さらなる生産性向上につながる。そのため、全設備にIoTセンサーを取り付けることにした。
具体的には、各設備の頭上に回転灯(パトライト)を置き、「稼働中」「段取り中」「ならし運転中」などを色分け。同じく各設備に設置した光センサーで点灯・消灯状態を感知、記録する。
また、人が立つ位置にもセンサーを付けた。これらの情報をベースに改善点を発見し、カイゼン活動につなげていく。