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訪問看護師が「現場目線」のバッグ

訪問看護ステーション「登戸だんだん訪問看護」を運営するT大夢(ティータイム)が開発したオリジナル商品「訪問バッグ」が売れている。自身も訪問看護の第一線にいる新井朋社長が、市販のバッグが使いにくく、苦労したことから“完全現場目線”のものを作ろうと、商品開発に挑戦。当初は協力してくれる製造業者が見つからなかったものの、大阪の専門メーカーと連携し、昨年11月に発売。400個生産したが、すでに在庫数はわずかとなった。

ニーズとらえヒット飛ばす

看護師たちは訪問時に、血圧計や聴診器、注射セット、書類、除菌セットなど、数多くものをバッグに入れて出かける。

ただ、急な雨で濡れてしまったり、汚れたりすることもある。また、訪問時に必要なものをすぐに取り出せるようにしなければならない。

だが、市販のバッグは“訪問看護師仕様”になっていないため、使い勝手を十分に満たす商品がなかったという。そのため、新井社長が「自分たちで開発しよう」と企画した。

ただ、大手アパレルや作業服メーカーに開発協力の話を持ち掛けたが実現せず、ようやく大阪のかばん製造業者を探し当てた。

開発に当たり、新井社長やスタッフらが、10種類以上ある市販品バッグを実際に使ってみて、その中から一番評判がよかったものを選定。そのバッグの改良点を話し合い、新商品の設計に反映させた。

■医師や介護士にも広がる

こうして商品化したバッグは、大容量で間口を広くし、収納物をすぐに取り出せるよう設計。素材には通常のナイロンではなく、優れた防水性で汚れや摩擦に強い特殊素材「ハーバード・プロ」を使用した。「防水機能も、通常は経年劣化で弱くなりますが、2~3年たっても劣化しません」(新井社長)。

初回限定価格で6800円(税別)で外販しようと、同業者が加入する協会の加入事業所にダイレクトメールで営業。すると、数々の反応があり、訪問看護師だけでなく、往診の医師や介護士、異業種の外回り営業マンまでも購入するようになった。

「今後もスタッフが楽になるような商品の開発をしていきたいです」と新井社長。異業種ながらも初めての商品開発がヒットした理由は、使用側である看護師が開発に携わったからだという。

(2023年1月号掲載)