住まいの産業 / ライフサイエンス

規格外のかんきつ類をアロマ商品に ご当地産活用の新事業

現役大学生が商品企画責任者を務め、アロマ事業を展開するノンバーバル(川崎市高津区坂戸)の「かわさきカンキツオイルプロジェクト」が注目されている。税理士でもある父・高橋昌也社長と、息子で東京理科大学在学中の淳音(あつと)さんが運営する企業。地元・川崎で育てられたが、従来は使い道がなかった規格外かんきつ類を使用し、地域や障がい者就労支援施設も巻き込んでアロマ商品を開発している。第一弾のアロマスプレーは完売となり、現在は新商品として「ご当地かんきつバスソルト」を発売している。

地域活性化につなげる新事業

2020年1月に設立した企業。当時高校生でアロマ好きだった淳音さんも合流し、アロマ事業部を設けた。

川崎にはユズやミカンなどが数多く栽培されているものの、間引きのために摘み取られたり、収穫されずに地面に落ちてしまったりするものがある。ただ、見方を変えれば、廃棄されるかんきつ類でも、アロマオイルとして蒸留することで新たな命を吹き込める。

しかも、皮むきや瓶詰めといった加工作業、デザインを地域の人たちに協力してもらうことで、地域おこしにもつながるのではないかという高橋親子の思いが重なり、アロマ商品の独自ブランド「souveniraroma(スーベニアアロマ)」を立ち上げ商品開発をしている。

「地元の原材料を使い、地元で売る」

中でも「ご当地かんきつスプレー(川崎ユズ・川崎ミカン・高知ミカン)」は、他社製品と比べて倍以上の価格だが、川崎ユズと川崎ミカンは完売。現在は新商品「ご当地かんきつバスソルト」(30グラム、3000円)を展開する。

バスソルトで使用するユズ精油やミカン精油の原料となる果皮は、アロマスプレーと同じく地元産。蒸留の際に使うまきは山梨県都留市で間伐材として廃棄される予定のものを採用し、山北町で伐採された木も使った。

高橋社長は「地元の原材料を使い、地元でデザイン、二次加工したものを地元で売ることで、みんなに幸せになってほしいです」と話している。

(2024年9月号掲載)