全世界で年間9200万トンに上るとされる衣料品廃棄物のうち、リサイクルされるのは1%未満とされる。こうした「厄介者」を、独自のAI技術を活用し、高強度な建築材料に生まれ変わらせる技術を持つのが、雄材大智(Strong and Wise Material Technology、台北市)だ。世界唯一の技術とされ、日本の大手商社とも協業し、本格進出もうかがう。
「現地の地産地消モデルを」
同社のリサイクル技術は、紙おむつの端材と不織布、AIで選別した衣料繊維を独自ノウハウで配合しペレット化する。これを押出成形し、最終的には木材のような質感を持つ新素材「EFWood」を製造する。
100%繊維廃棄物を原料として製造される新しい複合材料で、不織布のしなやかさとプラスチックの硬さを併せ持ち、500kキロの荷重や100度の熱湯に3日間耐えられる強度、耐久性を実現。従来の木材プラスチック複合材の課題だった割れや劣化も克服した。
「こうした技術は世界で唯一といえます。衣料品の繊維を混ぜて作っているので材料が丈夫というのが特徴です」(林正雄総経理)
北京五輪の関連施設やホテルで採用が広がるほか、台湾マクドナルドでは従業員の制服を店舗のウッドデッキに再生した。今後は「現地の廃棄物を使い、現地で消費する地産地消モデル」を掲げ、日本でのパートナーを探す。製品供給のほか、リサイクル設備の提供や日本企業との合弁事業設立など柔軟な提携を模索。深刻化する衣料品廃棄問題の解決に貢献する構えだ。