地域の話題のお店

茅ヶ崎名物ビールは地場産の原料・食材

茅ヶ崎ビール(茅ヶ崎市中海岸)は、徹底した「ローカルファースト」を実践する。ビール原料や工場併設のレストランで地元食材を採用するほか、ビール製造時に出る麦芽かすも「ちがさき牛」の飼料として提供する循環モデルも形成。同店の総合プロデューサー・岩瀬望美さんは「可能な限り地元資源を使うことで、地域経済と循環型経済の発展を目指しています」と語っている。

ローカルファーストの循環モデル

定番6種類のクラフトビールを生産・販売するほか、レストランやキッチンカーでも提供している。

地元の関連業者と協力関係を結び、可能な限り地元調達を徹底。例えば、クラフトビール「小松菜ヴァイツェン」には、地元産の小松菜を使用。ビールづくりに地元農産物を取り入れることで、地元農家の収益向上につなげてもらい、地域の食文化とも深く結びついた商品を目指している。

麦芽かすのアップサイクルも進めている。地元ブランド牛の飼料として使ってもらい、その牛肉を地元食肉業者でハンバーグに特注加工。そして併設レストランでオリジナルメニューとして提供している。

地域内で資源が循環するシステムを構築することで「地元で仕事が生まれ、地元にお金が落ちるようになります」と岩瀬さんは語っている。

■売るための「ラストワンマイル」

ただ、どんなにSDGsに配慮したモデルであっても、販売になると別。岩瀬さんは「物流こそ売るためのラストワンマイルです」と強調し、パッケージに至るまで細心の注意を払っているという。

例えば、配送中に箱がへこんでしまったり、中の瓶のラベルがずれてしまったりしないよう工夫する。こうした心配りが奏功し、有名百貨店向けの中元商品では900セットを完売、予想の倍以上の売り上げを記録した。

今後は多くの関係者を巻き込み、地元経済を支えるブランドとしての成長を目指す。「お酒は100年、200年続くものづくり。将来は、ジンやウイスキーなどの新商品にも挑戦したいです」と話している。

(2024年12月号掲載)