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若者・外国人にも分かりやすい日本酒を

日本酒をもっと分かりやすくしたい─。日本酒製造、RiceWine(ライスワイン、小田原市鬼柳)は、オリジナルブランド「HINEMOS(ひねもす)」を展開している。種類や原材料、製法など、専門用語が少なくない日本酒を身近に感じてもらうために商品設計。1日の時間帯で想定されるさまざまなシーンごとに、お薦めの日本酒をラインアップした。これにより、日本酒に親しみがなかった若者や外国人などの客層を取り込んでいく。

新発想の商品設計で海外需要も

「時間帯に合わせたお薦めの日本酒」という発想で作られたHINEMOSシリーズは、午後7時から午前5時までの時間帯に合わせ計11銘柄をそろえた。

例えば、「SHICHIJI(7時)」と名付けた日本酒は、夜の乾杯の一杯目をイメージし、低アルコールの微炭酸スパークリングに仕上げた。

同シリーズは、夕方の早い時間帯だと、アルコール度数の低い食前酒から始まり、ディナーの時間帯になるにつれ度数が高めのしっかりした味わいの品になっていく。

また、深夜には、お米由来の天然色素を使い、ロゼワインのようなほんのり赤みのある日本酒。夜明けを迎える時間には、甘酒と日本酒の風味が感じられるすっきりとした味わいのものをそろえた。

日本酒を作り出すのは、創業300年以上の酒蔵「森山酒造」の12代目、湯浅俊作氏。大学卒業後、静岡や神奈川で修業し、若くして井上酒造の杜氏を任されていたところ、同社の酒井優太社長と出会った。

■伝統生かし「変える」

湯浅さんは「公的機関が開催する新酒鑑評会という審査会があり、そこで良い評価を得た日本酒が『おいしいお酒』とされます。全国の酒造が同じ目標に向かって酒造りをしています。だから、味わいも似てきます」と指摘する。

同社では、若い人や外国人などに日本酒のおいしさを広く知ってもらうため、伝統技術を生かしつつ、製造方法も原材料の選定や配合比率も一つ一つ「変えた」。

現在、テコ入れするのは海外市場への展開。「価値を感じて高くても買ってくれる人が多いです」と、酒井社長は語っている。

(2023年6月号掲載)