化粧品メーカー、ジュポンインターナショナル(東京都大田区西糀谷)は、宇都宮市内に新工場「陽南工場」を完成し、本格稼働させた。ヘアケア関連商品の大量生産を目指し、既存製造釜の生産能力の5倍の規模となる5トン釜を導入した。1976年の創業以来、「クオリティは自然から」をモットーに“自然派”の化粧品にこだわり続け成長。近年のオーガニック分野の需要増を受けて生産能力を拡充し、未来への道筋をつくる。

5トン釜導入で生産能力5倍

植物由来の天然成分を高配合した自社ブランド「ジュポン化粧品」を展開している。その一方で、1990年代半ばからはOEM(相手先ブランドによる生産)にも進出。通販やPB商品の普及、オーガニックの人気を追い風に、取引先は年間100社に上っている。

工場はオーガニックの本場・欧州の認定機関エコサートのコスモス認証化粧品実績工場にもなっている。

現在、OEM事業の売り上げは全体の8割を占め、大手メーカーの製品も請け負う。「オーガニックのニーズは高いと感じています。チェーン店の自社ブランドでもオーガニック商品にすると、高い価格帯で販売できます。そのため、当社にOEMなどの依頼が寄せられます」と、上岡淑郎社長は説明する。

同社の場合、自社ブランドで培ってきた研究開発力を生かし、自社の研究室で3000種以上の原料を使ってオリジナルの付加価値を生み出す。顧客に対し、商品を一から企画・提案できるのも強みだ。

そんな同社がさらなる事業拡大をにらみ、新工場建設を決断。「売り上げ30億円の会社が30億円の設備投資をしました」(上岡社長)と明かしている。

■未来への投資

同社にとっては、本社と川田工場(宇都宮市)に次ぐ3番目の製造拠点。川田工場と同様、宇都宮市内でも中心部からほど近く“一等地”とされる場所にある。

「駅近くに立地することで優秀な人材が集まりやすいのも理由です」。今後はフィリピンやベトナムでの工場建設も視野に入れる。

宇都宮の工場が稼働したばかりだが「勝負する時は一気に決断しなければなりません。未来永劫に存続できる企業になるために準備します」と、上岡社長は前向きだ。

(2024年2月号掲載)