防災・環境分野のリスクコンサルティング企業、日本ミクニヤ(川崎市高津区溝口)は、下水汚泥や食品残さなどの有機性廃棄物に対し、“自然のチカラ”を活用することで、9割超も減容化するリサイクル装置「ミシマックス」を開発した。農業に利用できる菌体肥料に再資源化する。空気中にいる微生物(バチルス菌など)を木質チップ内で培養し、廃棄物を食べさせる仕組み。その場で処理するため、定期的な廃棄物処理費用が大幅に削減できるという。

日本ミクニヤ、木質チップで実現

一般的なコンポストは、特殊な菌を使って減容化することが多いのに対し、同装置は「生態系への影響に配慮しました」(徳岡誠人執行役員)と言うように、空気中に含まれる菌を生かす方式を採用した。

廃棄物の発酵分解槽には、特殊加工した木質チップが入っており、これをヒーターで高温にすると同時に、ブロアーで空気を送り続ける。そうすることで、微生物が好む環境を作り出し、培養を促す。24時間で90%以上の減容化が可能だ。

同社によると、木質チップは“蜂の巣構造”のため、たくさんの微生物を培養するのに適している。一度投入すれば半年間交換しなくて済むので、ランニングコストも低減できるという。リサイクルしたたい肥は、根菜類や葉物野菜などの肥料として使える。

■お試し導入可能

同装置は、一般的な処理と比べ「オンサイト型」で処理できるため、毎回の廃棄物輸送、焼却が不要になり、LCCO₂(ライフサイクルCO₂)が9%減らせると試算している。

現在、廃棄物が日量50キロの小規模事業者用から中規模、大規模用までをラインアップ。SDGs(持続可能な開発目標)に対する機運の高まりから、同社への問い合わせが増えているという。

「まずお試しで使ってみていただきたい」(徳岡執行役員)とし、50キロタイプを貸し出し、有効性を確認してもらった上で購入につなげてもらう。導入価格は50キロタイプで500万円(脱臭装置もセット)。

下水処理場のみならず、食品や飲料工場、食堂、キャンプ場など、あらゆる場所での利用を想定。年間20台の販売を見込んでいる。

(2021年8月号掲載)