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自動車を「広告」にAIで効果算出

あなたのクルマを広告に使わせて─。学生ベンチャー企業のEssen(エッセン、川崎市中原区木月)は、新しいモデルとなる広告サービスの実証実験を市内で進めた。自家用車に企業などのラッピング広告を施し、AI(人工知能)とビッグデータから割り出した「広告効果がありそうなルート」を走行してもらう。協力するドライバーには広告収入の一部が還元され、企業にとっても効率的な宣伝ができる仕組みだ。

学生ベンチャー、川崎で実証実験

ドライバーは自家用車のリアガラスに店舗や企業の宣伝シールを貼り、走行前にスマートフォンの専用アプリを起動し、走行情報を送信する。アプリには「オリジナル広告価値マップ」が表示されており、走行ルートの参考にしてもらう。

このマップは各都道府県ごとに発表される交通量や人流量のビッグデータなどを参考にAIが割り出した「閲覧期待値」が高いエリアが表示されるのも特徴にしている。

個人、法人を問わず「パートナードライバー」として登録可能。“すき間時間”を利用し、いつも通り走行するだけで収入を得られる仕組みだ。

収入は走行距離とルートを基に算出される閲覧件数に応じて決まる。ネット広告のような課金システムという。

現在、実用化に向けた課題の洗い出しと走行テストを重ねている。橘健吾代表は「検証を進め、より精度を高めていきます」と話している。

■GAFAを超えたい

同社は、東京大学、東京工業大学、東北大学の現役学生らを含む14人で構成。橘代表が「自分たちの得意分野の知識を集結してビジネスができるのはないか」と、シェアハウスの仲間に夢を語ったことで始まったプロジェクトだ。

「ビックデータとAIを活用した広告ビジネスは、(米IT大手企業)GAFAの独占状態ですが、そこに風穴を開けたいです」と橘代表は意気込む。川崎市内のみで実証実験を始めたが、今後は機能やエリアも拡充していきたいという。

(2021年9月号掲載)