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脱炭素対応、金の回収装置開発

貴金属回収・リサイクルの七生工業(横浜市金沢区福浦)は、金めっきの排水成分に含まれる金を回収する環境配慮型装置「ナナオ・リバース」を開発した。従来、排水中の金を回収する方法は、イオン交換樹脂を投入して金を付着させた後に焼却、灰から金を取り出す方法しかなかったため、二酸化炭素(CO₂)を排出してしまうという課題があった。同装置は、樹脂を燃やさずに金を回収する。「世界でも初めての方式」(永井成士社長)としている。

七生工業、イオン樹脂再利用も可能

金だけでなく、銀回収にも使える。これまでの回収方法は、金めっき排水に投入したイオン交換樹脂が金イオンを吸着。回収した後に焼却すると、樹脂は燃えて金だけが残るため、そこから職人が精製し、純度の高い金にしていた。

ただ、回収のたびにイオン交換樹脂が消耗品になるほか、燃やすことで「ダイオキシン発生の懸念もあります」(永井社長)としており、環境に配慮した回収装置の開発を進めていた。

新製品は、金が吸着したイオン交換樹脂を回収後、専用の“溶剥液”を使うことで金の成分を分離する。イオン交換樹脂も性能が劣化せず、30回まで再利用できるという。これにより、CO₂排出の抑制やランニングコスト低減も期待できる。

回収する貴金属量や設置場所によって仕様が異なるため、完全受注生産。価格は30万円から1000万円台を見込んでいる。

なお、同社は1978年11月設立。めっき排水や電子部品などから希少金属を回収し、精錬・売買を手掛ける。現在は金や銀、プラチナ、パラジウムを扱う。金(純度99.99%)だけで年間200~250キロを精錬しているという。

(2022年8月号掲載)