住まいの産業 / ライフサイエンス

老舗の新たな調味料「イカチョビ」 塩辛をアンチョビ感覚で

波座物産(川崎市多摩区生田)は、宮城県気仙沼市に工場を構える創業55年の塩辛の老舗。その2代目経営者が新製品「イカチョビ」の拡販に挑んでいる。気候変動などの影響でイカの不漁が続いた中、調味料として使う塩辛を開発し、イタリア料理でよく使われる「アンチョビ」の感覚で若者に訴求している。

若年層向けの市場開拓

同社は1970年に食品商社として創業。波座は「なぐら」と読む。魚が集まる潮の境目を意味する。

80年代に気仙沼工場を設け自社製品の塩辛の供給を始めた。看板商品の「昔ながらの濃厚熟成塩辛」は一瓶1000円程度の高級品。ネット販売のほか、宮城県内の土産物店などで販売しており、リピート客が多い。

朝田慶太社長は現在47歳。20年前から父をサポートし、東日本大震災で被災した工場を気仙沼で最も早く再建するなど手腕を発揮してきた。しかし、イカの漁獲高が乱高下し、地域の製造各社が原料調達に苦しむ状況となっている。

東日本大震災の被災時にコピーライターの糸井重里氏らのチームの支援を得た経験がある。今回は当時のデザイン関連のスタッフと契約して「イカチョビ」を開発、新たな危機の突破を目指している。

イカチョビは塩辛の製法で作りながら、イカの使用量を抑える一方で甘みを強くするなど味を工夫し、調味料としてさまざまな料理とアレンジできるようにした。

合わせて「IKASUくん」のイラストキャラクターを作り、瓶容器をデザイン性の高い箱詰めにした。今年初めに発売しネットでの販売価格は箱付きで810円。賞味期限は冷凍で120日、冷蔵保管でも30日。

新商品の認知度を高めるため飲食店と共同でメニューを開発、イカチョビを使ったホットドッグの販売キャンペーンなども実施している。

また、食品関連の展示会に出展するなど販路の開拓を進めており、菓子メーカーとスナック菓子を開発するなどの需要開拓を目指している。

地元・気仙沼ではラジオCMを流し、イカ関連産業全体の盛り上げを呼びかける。朝田社長は「イカチョビは第二のブランディング。水産資源に頼らずにおいしい食品を提供する事業を作りたいです」と話している。

(2025年11月掲載)