近藤義歯研究所(相模原市南区西大沼)は“超精密義歯(入れ歯)”を展開する。歯科技工士の世界コンテストで入賞経験もある近藤太社長が率いる同社は、義歯分野の職人集団を形成。かみ合わせの悪さに起因する病気を防ぐため、ミクロンレベルで調整し、ジャストフィットするフルオーダーの入れ歯を製作する。「人工の歯は、人間にとって最高のかみ合わせを実現できます」(近藤社長)としており、同分野のオンリーワン企業へと成長した。

フルオーダー入れ歯で成長

義歯専門の技工所で40人弱のスタッフが在籍する。「この分野では国内最大規模の技工所です」(近藤社長)としており、保険適用される義歯から、自費診療の超精密義歯まで、年間8000人分を手掛けている。

同社が提唱するのは「長く使い続けられる入れ歯」だ。一般的に保険適用される量産品の義歯は、精度が限定的で長く使用することができない。そのため、現行の保険制度では、半年間を過ぎれば新しい義歯に替えられる。ただ、近藤社長によると、義歯のかみ合わせが悪かったり、咀嚼(そしゃく)力が弱くなったりすると、さまざまな病気を引き起こす原因になるという。

それに対し、超精密義歯は、総入れ歯にしても10年以上は使い続けられる。口の中の特徴は人によって異なるため、寸法だけで2時間以上を費やし、緻密に型取り。それから1~2カ月以上をかけて職人が製作していく。「ミクロン単位で調整する部分もあり、ジャストフィットするようにします」(近藤社長)というこだわりだ。

現在、全国300超の歯科医院と提携。相模原から全国に超精密義歯を提供している。「当社には壮大な夢があります。現在、日本全国で保険適用されている義歯を、当社のフルオーダーのものに置き換えることです。そうすれば、国の支出も減らせ、健康寿命の延伸にもつながります」と近藤社長。今後は規模拡大を視野に入れている。

(2021年4月号掲載)