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緩衝材「新聞玉」が脱炭素で注目

三幸紙器製作所(川崎市幸区古川町)のオール紙製緩衝材「スペースパルパ」が注目されている。新聞古紙を100%使用した緩衝材で、大手医療機器メーカー向けだけでも、毎日2トントラック1台分を出荷するほどだ。環境配慮に対する機運の高まりで、同製品を選択する企業が増えており、1998年に開発して以来の地道な自社製品事業が実を結んだ。

三幸紙器、弾力性持たせ飛散もなく

スペースパルパは別名「新聞玉」とも呼ばれ、一見すると新聞古紙を丸めたような形状だが、ここにノウハウが凝縮されているという。古紙ながらも“弾力”を持たせているのだ。

自社開発した専用生産設備「紙つぶし機」で生産。まず1枚の新聞古紙をジグザグに折り曲げて中空ドラムに移し、圧縮をかけながら丸め「新聞玉」に成形。それを封筒に詰め、緩衝材にしていく。

他の緩衝材は破れると中身の成分が飛び散り、製品本体にも影響する恐れがあるが、「スペースパルパ」ではそのリスクがない。そのため、高品質を要求される医療機器や半導体関連部品などの精密な製品に採用されている。

最近では「脱炭素やSDGsが追い風」(平賀三男社長)となり、化成品由来から紙製緩衝材に切り替える企業も出てきているという。今後はスペースパルパの生産設備の外販も視野に入れる。

なお、同社は段ボールなどの梱包材の設計、製造を主力事業とする。「大手梱包材メーカーでは引き受けてくれない特注品でも、1個単位から請け負っています」(同)としており、中小メーカーにとって梱包材の駆け込み寺のような存在にもなっている。

(2022年12月号掲載)