住まいの産業 / ライフサイエンス

結露を起こさない長寿命の家を

TH健康住宅(川崎市宮前区東有馬)は、結露を発生させない長寿命住宅「TH健康住宅」ブランドを本格展開する。無垢材やシラスそとん壁などの自然素材を使用し、断熱材には新聞古紙由来のセルロースファイバーを採用した。これにより、時間の経過とともに木造躯体(くたい)が腐食する最大の原因となる内部結露の発生を防ぐ「透湿性」を実現。化学物質の使用も極力避けることで住人の健康にも配慮した。

透湿する自然素材を活用

注文住宅やリフォーム・リノベーションを手掛ける企業。木村隆社長と木村純子副社長の夫妻でかじ取りをする。

木村社長は都内の建築デザイン事務所やハウスメーカー勤務を経て2005年5月に独立。数多くの建築コンクールでの受賞歴も持っている。

そんな木村社長が過去に手掛けたリフォーム・リノベーションは数百件。その中で「どの物件でも壁をはがすと、腐食した『同じ臭い』が発生していることに気づきました」(木村社長)という。

調べていくと、エアコンで快適になった室内と室外は“温度差”があるため、結露が発生。結果として「内部結露」となってしまう。そのため、カビやシロアリ、ダニなどが繁殖し、腐食が進んでいくことを知った。

「長寿命住宅は水蒸気を逃がす『透湿性』が決め手になると確信しました」と、健康な家づくりに着手した。

同ブランドの住宅は、「透湿性」を実現するため、昔から存在する自然素材を採用するとともに、断熱材として米国で普及する新聞古紙由来のセルロースファイバーに着目した。同素材は木質繊維系で透湿性に優れている。

また、外装材・内装材には「シラスそとん壁」やホタテ貝由来の「チャフウォール」、無垢床材などを利用する。

■自宅兼会社を「体験ハウス」に

同社では、築33年の中古住宅をリノベーション。木村社長夫妻が実際に住み、体験者として魅力を伝えている。

「実際に住んでいるからこそ、住み心地が伝えられます」と木村副社長。今後は同ブランドの注文住宅事業を育成し、主力事業にしていきたい考えだ。

(2024年3月号掲載)