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経験豊富なシニアをマッチング

中小企業の課題はシニア人材が解決─。シニアベンチャー企業、知見パワー(東京都町田市中町)は、大手・中堅企業を定年退職しても働く意欲が旺盛で専門知識もあるシニアと、人材不足を感じている中小・小規模企業をマッチングさせる事業を始めた。人材派遣業とは一線を画し、依頼者となる中小企業と同社が業務委託契約を結び、今度は同社が解決できそうなシニア人材に再業務委託し、企業側に送り出す。期間は原則、数カ月から1年契約だが、場合によりスポットでも受ける。

人材不足の企業から「業務委託」

「定年後も自分の知識や経験を社会に役立てたいと考えるシニアは数多くいます。そうした人材を活用してもらうことで、企業の成長を後押ししたいです」と羽多野敦社長。現在、経営企画や管理、海外ビジネス、品質管理、工場改善などの分野で専門知識がある計60人ほどのシニア人材が登録している。

利用までの流れとしては、同社がまず、企業の課題をヒアリング。そして解決できそうなシニア人材を探し、3者面談を通じて勤務形態や報酬などの条件面を調整する。決まれば、同社が派遣するのではなく、企業と同社が業務委託契約を交わし、今度は同社がシニア人材に再委託して送り出す。

マッチング成立以降、同社に支払う費用も見える化した。原則として、月額報酬の25%を同社への「報酬」(契約期間6カ月以上の場合)として受け取る。

また、月額制だけではなく、あらかじめゴールを設定する成功報酬型やスポット委託のメニューも用意する。中には海外取引先に出す英語版のプレゼン資料作成や通訳などを受けたケースもあるという。

契約後も企業とシニア人材の相互理解を促すため、同社が月1回、それぞれと面談しフォローしていく。

■4人に1人が前向き

羽多野社長はもともと、金融機関と大手環境装置メーカー出身。役員として海外事業を統括するなど活躍をしていたが65歳で定年を迎えた。

「気力や体力が十分でも、定年を迎えると、突然活躍の場がなくなってしまいます。同じような経験をしている元サラリーマンも多いのでは」と感じ、2021年1月に起業した。

「人材探しで回っていますと、シニアの4人に1人は働くことに前向きだと感じています」と実感。経験豊富なシニア人材集めに奔走しており、年内に登録100人を目指していく。

(2024年11月号掲載)