ロストワックス鋳造、武杉製作所(横浜市鶴見区東寺尾)は、1968年の会社設立以来、初の自社商品となる「TAKESUGI titan tumbler(タケスギ・チタン・タンブラー)」を開発した。純チタン製(99.8%)。“塗装レス”ながらも、チタンに対して、ナノレベル単位で調整する独自の酸化皮膜処理を施したことで、劣化しにくく鮮やかな色味を出した。板厚0.5mmのチタンを冷間鍛造し、内側と外側の間に最大20mmの真空空間を設けた「真空二層構造」が特徴。優れた保冷・保温性も実現した。
武杉製作所、創業以来初の自社商品
タンブラーの容量は最大300mm。「蒼(sou)」と名付けたブルー系と、「美桜(mio)」とするピンク系のカラーバリエーション。いずれも被膜で色を出しているため、見る角度によっては違った色味が楽しめるという。
また、チタンは空気と日光などの光に触れると「光触媒効果」で抗菌作用が発生するため、衛生的としている。
本業はステンレスやチタンのロストワックス鋳造。年間約1000種類を手掛ける。配電盤・分電盤の部品から高速鉄道車両部品、半導体製造装置部品など幅広い業界から受注する。
「自分たちの商品を世に出すことで、社員の士気、会社の認知度を高めていきたいです」(笠原成晃専務)と、2年ほど前から構想を描き、タンブラー形状・デザインの段階から社員たちと意見を出し合いながら開発した。
特徴の一つである「真空二層構造」は、外側と内側に“真空のすき間”を設けることで、外気からの影響を受けにくいだけでなく、内側の熱をシャットダウンする効果を持つ。
同社による保温性の検証によると、気温23℃の環境下で同製品に対し、90℃のお湯を注いだ場合、5分後に82℃(他社製チタンタンブラーは77℃)だった。
また、冷たい飲み物を注いでも、結露が出ないという。「日本酒やビール、ハイボールがおいしく飲めるようになります」と笠原専務。価格は1万5500円。贈り物にしてほしいと、専用ケースも付けて販売する。インターネットのショッピングモールへの出店も計画。初年度100個程度の販売を見込む。タンブラーと同時に、アウトドアで使えるチタン水筒(1万8500円)も同時発売した。