金属加工・樹脂加工・その他加工

精密板金で高い利益率を実現

精密板金加工業、武蔵工業(横浜市港北区新羽町)は、社員21人の小さな会社でありながら、ファイバーレーザー溶接機や材料供給ロボットなど最新設備を誇る。同時に50~60代のベテラン社員が確かな加工技術を提供、人と機械の強みを生かした事業を展開する。約50社の顧客に向けて売上高は4億2000万円に拡大、営業利益率2ケタの高収益を誇る。

最新設備と熟練の技を融合

■会社を再建した二代目

1982年に設立、二代目の小瀬公嗣社長は2006年に入社した。

小瀬社長は09年に売上高8000万円で債務超過だった会社の再建を進め、19年に社長に就任。まず設備の更新では、国や県、横浜市の補助金制度を最大限に活用し、ファイバーレーザー溶接機やサーボベンディングマシン、パンチ・レーザー複合機など最新の板金加工機械を導入。

さらに、バリ取り機や自動洗浄機などの周辺機器も導入し、材料の供給にはアーム型ロボットを導入して自動化を進めた。

■高い給与水準

一方でほとんどの社員が業界の中でも高い給与水準のため、即戦力のベテラン採用につながり、技術を持つ職人集団を形成。しかも、それぞれの専門技術だけでなく、溶接、曲げ、抜きなど板金の複数の工程に対応するよう求め、多能工化を進めた。

社内は役職者を置かないフラットな組織で、全員に支給したスマートフォンと業務用SNSにより、社長が直接業務展開を指示する。

顧客企業は会社HPへの問い合わせ対応を中心に順次拡大してきており、通信機器や医療機器の大手企業や官公庁と直接取引している。リピートの量産製品は自動化設備で低コスト生産、試作品などの多品種少量の仕事は多能工化した職人集団が対応する。

主な材料を社内に在庫していることもあり、高度な品質と最短で翌日の短納期を実現。「今後もこの規模のまま利益率を高めたいです」(小瀬社長)と話している。

(2024年4月号掲載)