機器・装置・製品/ロボット

窒化処理で“使い捨てない”焼き網

極東窒化研究所(秦野市三屋)は、金属の表面を硬くする工業用の「窒化処理」を使って、キャンプ用の焼き網を開発した。普及している使い捨てタイプの網とは異なり、窒化処理を施すことで、さびに強く、焦げ付きにくくした。使用後も水とスポンジでこするだけできれいになる“ 使い捨てない網” だ。応援購入サービス「マクアケ」で11 月下旬から先行予約販売したところ、公開初日の売り上げランキングで2位を記録した。

極東窒化、マクアケ公開初日にランキング2位

「chicca mesh」(チッカメッシュ)と名付けた。1957年12月の会社設立以来、初の自社商品だ。

同商品で使われる窒化処理は、歯車やスピンドルなど、常に金属の表面を酷使するエンジン関連部品の表面処理などに用いられる。摩耗や腐食に強くなり、寿命も劇的に伸ばす。同社は国内最大級の処理設備を持っている。

同社によると、アウトドアキャンプやバーベキューで使われる焼き網は、鉄にめっき処理を施した安価な使い捨てタイプが主流となっており、繰り返し使おうとしたら、汚れや焦げつきを落とすだけでも一苦労という。使用前には油を塗ったり、空だきしたりする必要がある。

そこで同社は、窒化処理の技術を焼き網にも使えないかと開発を進めた。

■海外製に負けない

焼き網を窒化処理すると、網の表面に1マイクロメートルにも満たない超微細な凹凸が形成される。その中に窒素原子が閉じ込められた「窒化層」ができる。これにより、汚れが付着してもスポンジによる水洗いだけで落ちるという。

鉄の内部に窒素が入り込んでいるため、剥がれることもない。「金たわしで強くこすっても劣化はしません」と、武田康秀社長は胸を張る。

2月下旬までマクアケで応援購入を募っている。価格はSサイズ5600円(税込)、Lサイズ6000円(同)。武田社長は「ものづくり企業として、使い捨てせずに長く愛着が持て、しかも安価な海外製に負けないものにしたいと思い開発しました」と話しており、マクアケの期間終了後も専門サイトで販売していく。

(2021年1月号掲載)