鉄道架線工事業、エヌティエス(川崎市川崎区渡田山王町)が、本社1階にイタリアンバル「Cocobal(ココバル)」を本格オープンさせた。社員食堂で腕を磨いてきた女性社員たちが中心となってメニューを開発し、コロナ禍に直面する会社のために新規事業を旗揚げ。事業再構築補助金にも採択された。20年以上の調理経験から生まれた料理の数々に、常連客も増えつつあるという。
架線工事のエヌティエスが「イタリアンバル」開業
同社が手掛ける鉄道架線工事は、社会インフラを支える大切な仕事。だが作業は夜中に始まり、始発までの限られた時間で終えなければならない。同社では、地方から就職し、過酷な環境で働く若い社員の健康を管理するため、20年ほど前に寮を整備した。
寮の社員食堂では女性社員たちが毎日、朝・昼・晩の3食を交代で作り、母のように提供してきた。昼食は「まかない」として全社員にも利用してもらい、社員食堂は健康管理とコミュニケーションの場にもなった。
こうした中、コロナ禍で本業の仕事と売り上げが減ったことを受け、女性社員たちが「(売り上げに)貢献するような仕事がしたい」と、立ち上がった。
経験や能力を生かして売り上げアップにつなげられる新事業は何か。議論を重ねて一致した意見は「飲食店」。ジャンルは、会社の近くにはないイタリアンを選んだ。社員食堂で洋食を担当していた社員が中心となり、メニューを開発した。