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磁性金属をリサイクルする分別機械

台湾は廃棄物のリサイクル政策に力を入れており、家電製品やパソコン、携帯電話などの再資源化も定着した。それでも、スクラップとなった金属廃棄物の再生促進は課題となっている。廃棄物リサイクル装置メーカー、年弘磁電工業(雲林県)は、廃棄物から磁石を再生する装置を生産。1982年の創業で、磁石メーカーとしてスタートし、分別機や再生用機械の開発にも事業を広げてきた。16件の特許も取得する。

新興国開拓で日台協業も視野

ラインアップは、統合型の金属分離機、磁力選別機など幅広い。主力の渦電流選別機は、非磁性金属が起こす渦電流の磁界と磁石の反発作用を利用して磁性体を分別する仕組み。液体から微細な粒子まで、さまざまな材料に対応できる。

企業の生産現場や建築現場から、公共機関、商業施設まで、製品が活用する場も多彩だ。台湾プラスチックグループの台湾塑膠工業や、食品大手の統一企業などとの間で実用実績を上げている。

翁培發董事長は「顧客の需要に合わせて、柔軟に設備を調整できるのが強み」とする。装置はすべて電力不要で、電源やバッテリーを内蔵していない。メーカーとしての技術を生かし、装置の中で磁力を発生させ、永久磁石として動力源にするためだ。

今後、日本企業の中にもパートナーを探したい方針だ。「環境技術の先進国でもある日本の設備は高コストですが、部分的にでも台湾の製品と提携できれば、新しい顧客を探せるかもしれないです」(翁董事長)とみて、東南アジアなどの新興市場への販路開拓で日台の協業を目指す。

(オンライン取材、2023年7月号掲載)