金属加工・樹脂加工・その他加工

研磨の事業領域拡大に挑む 自社開発の自動化装置も外販

サンキョー(川崎市川崎区大川町)は、研磨業の事業領域を拡大している。これまでは標準的な平板のバフ研磨を手掛けてきたが、サイズの自由なカスタマイズや短納期対応、さらには自社開発の研磨装置の外販にも着手。2023年1月に移転した新本社・工場では、自動化も推進しながら数年以内に売上高の倍増を狙う。

新工場で規模を拡大

主力事業とする「バフ研磨」は、金属などの表面を滑らかにし、鏡のような光沢を出すための研磨方法。同社では金属材料の二次販売店から注文を受けステンレスやアルミの平板の表面を研磨。加えて、仕上げた面を養生するビニールコーティング、配送までを一貫して手掛けている。

バフ研磨の中でも、まるで鏡のように磨き上げる「準鏡面仕上げ」をタンクローリー向けに提供するほか、厨房機器向けに金属の表面に髪の毛のような細い線状の模様を施す「ヘアライン仕上げ」、産業機器本体の標準的な仕上げである「粗研」など、幅広いニーズに対応する。

鏡のような光沢を出す「バフ研磨」

一方、住宅が多い横浜市鶴見区から、ものづくり企業が集積する川崎区大川町へと本社工場を移転。敷地面積2200平方メートル(工場面積1650平方メートル)の新工場を本格稼働させた。旧工場と比べ約4倍の規模という。

新工場では、夜間運転が可能となり生産能力も拡大。しかも、工業団地周辺の切削加工企業などと連携することで、顧客のオーダーサイズでの研磨にも対応できるようになったという。

また、敷地内には倉庫スペースも確保。リピートオーダーがあるサイズの平板研磨では、自社で在庫を持つことで超短納期対応も実現した。

「研磨業の古いイメージを変えたい」

金属の表面を美しく仕上げるバフ研磨は、バフ(研磨工具)をワーク(加工対象物)に押し当てる圧力を微妙に制御する必要があり、職人の経験が必要とされる。

しかし、人材が不足する中、同社ではバフ研磨作業の数値制御(NC)化を推進し、大きな平板を研磨できる門型の自動研磨装置を自社設計。希望する大手顧客にはこれらの装置を外販している。その際、使い方のコンサルティングも行っているという。

バフ研磨の用途開拓にも注力する。「ブラックさざなみ研磨」と名付けた意匠性の高い鋼板加工もスタートさせた。

三木栄作社長は「高級な厨房機器などの需要も開拓していきます。研磨業の古いイメージを変えていきたいです」と語る。磨き上げた技術とともに、研磨業の可能性を追求している。

(2025年3月掲載)