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県内企業、スリランカに大学設立

ソフトウエア開発、メタテクノ(川崎市中原区小杉町)は、日本の民間企業としては初めて、スリランカに4年制私立大学を設立した。世界的に開発人材が不足するIT分野で、高度な技術研究力が身に付けられるカリキュラムを整える。「Lanka Nippon BizTech Institute(LNBTI)」としてスリランカ政府から承認を受けた。ITだけでなく、日本語や商習慣、文化なども学んでもらい、卒業後は日系企業での活躍も想定する。

メタテクノ、日系で活躍できるIT人材育成

大学ではソフトウエア工学や日本語などを教える。学生たちはスリランカ政府公認「理学士」の学士取得を目指す。2023年1月中に開校する。

名城大名誉教授であるスリランカ人のアーナンダ・クマーラ氏を学長に迎えた。経営メンバーとして、同社の古賀道夫相談役が理事長に就任。国外での学校設立にあたり、外部の意見も広く取り入れることを目的に、諮問委員会も設置した。元・スリランカ中央銀行総裁や現地の大学教授、官僚経験者などをメンバーに迎えている。

同社によると、スリランカはインドと並びIT産業の育成に熱心とされる。ただ、古賀相談役は「まだ成熟していないため、大学で学ぶ知識はアカデミック寄りです」と指摘する。

そのため、卒業後に“即戦力”となる組み込みソフトや先端技術に関わる知識が学べる場をつくろうと、同社が立ち上がったという。

同社はすでに16年2月、現地企業と共同で日本の短期大学に相当する高等教育機関を設立していたが、今回、4年制大学の認可を受けたことから大学に移行することになった。

■海外人材の新しい活用法

日本企業における外国人雇用は、実習生や高度人材として迎え入れることが多い。同社も外国人エンジニアを迎え入れた経験がある。

だが、現地ではエリート層に当たる高度人材でも、家族を残して長期間日本で働いたり、エリート層である妻も来日して母国でやっていたのと同じ職種に就いたりするのは、現実的に難しい。

そこで「日本で長く働いてもらうのは無理があると考え、現地の子会社や日系企業で働いてもらうことも狙いに教育機関の設立を考えました」(古賀相談役)。

円安や国際競争力の低下などで、日本企業が今後も継続的に優秀な海外人材を迎え入れることは厳しくなるとの見方も強い。同社は今後、スリランカ国内の日系企業向けに、卒業した人材たちを送り込んでいきたい考えだ。

(2023年1月号掲載)