住まいの産業 / ライフサイエンス

白髪対策に「ナノ技術」を活用

バイオベンチャー企業、NIL(エヌアイエル、海老名市下今泉)は、ナノ技術で色素成分を髪の毛のキューティクルに強力に固定する、植物由来色素100%の白髪染めを商品化した。「SUNAカラートリートメント」の商品名で、大手通販サイトやドラッグストア、百貨店などで販売を始めている。価格は「カラートリートメント(180グラム)」で2970円。

国内外で 60万本販売

主成分は、天然植物・ムラサキ(紫根)由来の色素「シコニン」。飛鳥時代から絹の染物に用いられてきたもので、殺菌や創傷治癒、抗アレルギー作用もある。外用漢方薬としても使われてきたという。

同社はナノ技術に関する膨大な基盤技術データなどを活用し、「シコニン」などの天然植物成分のナノ化に成功。環境や人体にも優しい革新的商品とした。

また、同技術は、神奈川県の産業の成長に大きく期待されるとして「かながわイノベーション戦略的支援事業」にも認定された。

佐藤幸蔵会長は大手精密化学メーカー出身で研究開発歴50年。同社はほかにも、髪の毛の色の元となるメラニンをつくり、高い抗酸化力を持つ成分「タラタンニン」を使ったナノ技術で白髪を内側から黒髪化するスカルプエッセンスも商品化している。

「これまで研究してきたスーパーナノ粒子技術を活用しながら、目的に応じ、自然の有用成分と組み合わせた商品開発を進めていきたいです」(佐藤会長)と意気込みを語っている。

(2023年5月号掲載)