建設機械販売・レンタルの旭フォークリフト(相模原市中央区田名)は、段ボール製造販売の東鈴紙器(同市中央区小町通)との異業種連携により、非常用トイレキットを開発した。「“メイド・イン・相模原”の意地を見せました」(横江利夫社長)という同製品は、段ボール製ながらも耐荷重300キロを実現。普段はクローゼットなどに収納し、有事には5~10分で組み立てて即使用できる機能性も併せ持つ。

耐荷重300キロ「メイド・イン・相模原の意地」

段ボール製の便器本体を組み立て、強化ビニール袋をセットする。排せつ後に凝固剤を入れると素早く固まる仕組み。凝固剤1袋で4人分の排せつ物が処理できる。

開発に約2年を要した。持ち運びやすく収納しやすい段ボール素材で、いざという時に丈夫で壊れない構造にするため試作を重ねた。そして、人が座った際に、重さを分散しながら支える独自構造にしたことで、最終的には300キロの重さにも耐えられるようになった。

「市場には類似品も出回っていますが、こちらは製品の品質と安心・安全で勝負します」と横江社長は話している。

段ボール便器本体に加え、強化ビニール袋10枚、凝固剤5袋、結束バンド5本を付けてキットとして販売する。価格は4980円(税別)。4人家族の場合、同キットで5日分の排せつに対応できる。初年度1000セットの販売を計画する。

■一般消費者にも販売

旭フォークは建設機械の販売やレンタル、整備などを主力事業として手掛ける。今回の製品は新規事業と位置づけ、災害対策を進める自治体や企業のほか、ホームセンターなどにも置いて一般消費者への販路も構築する。

開発のきっかけは東日本大震災。震災発生から間もなくして、宮城県石巻市や気仙沼市に出向いた横江社長。被災地を目の当たりにした横江社長は「自分も本業を通じて何かできることがないかと考えました」と、新製品の構想を練っていたと言う。今後は自社製品の企画・販売事業を経営の柱の一つにも据えていきたいとしている。

(2018年11月号掲載)