農業用資材卸売業の京浜興農(逗子市逗子)は、特殊なカメラが搭載されたドローンを飛ばし、畑を上空からセンシングすることで、農作物の生育状態を診断する新事業を始めた。上空から得られた画像データから、害虫が発生していたり、肥料が足りなかったりするエリアを特定。畑の状態を“見える化”する。ドローンによる農薬散布と組み合わせることで、農家の大幅な負担軽減が期待できるという。
特殊カメラ搭載ドローンで新事業
マルチスペクトルカメラを搭載したドローンを使用。被写体(農作物)が放出する光のスペクトル情報を上空から観測する。そうした情報から農作物の生育状態を示す指標「NDVI値」(正規化植生指数)のマップを作成する。
これにより、広大な畑でも、それぞれの農作物の生育状態が一目で分かるようになり、従来のような見回りながらの確認作業が軽減できるという。
さらに、そうしたデータをドローンでの農薬散布に活用することで、畑全体に散布しなくても、必要なエリアへの「スポット散布」が可能になる。
羽隅弘治会長は「従来、農業分野でのドローンの活用といえば、田んぼが主体でした。畑の場合だと、同じエリアで育てる作物が違ったり、住宅に囲まれていたりするため難しかったからです」と説明した。
同社によれば、1ヘクタール当たり3~4時間を要していた農薬散布が、ドローンの活用により1時間程度(準備時間含む)で終えられるという。農家にとって肉体的な負担が減るだけでなく、農薬使用量の削減にもつながる。
すでに伊勢原市内の農家の協力を得て実証を重ねており、今年度から本格的な事業化を進めていく。
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