GOKO映像機器(川崎市幸区塚越)は、手のひらサイズながらも、マクロから遠景まで撮影できる「マルチディスタンススコープ」を開発した。マクロでは、160倍(20インチモニターの場合)までの拡大画像が表示できるほか、動いている物体でも、ゆがみがなく映る「グローバルシャッター」を採用。卓上の画像検査装置を必要とせず、片手持ちで検査したい場合に使えるという。ウェブカメラとしても利用可能で、リモートでの品質検査や技術研修に活用できる。
GOKO映像、リモートも対応のスコープ開発
Windowsパソコンやタブレット端末に接続する。基本ソフトに加え、有償ソフト(既製品)では、さらに高機能な画像解析ができるという。オプション販売するフレキシブルアームやスタンドとつなげれば卓上型としても使用可能だ。ポータブルで片手持ちを想定するため、加工品の精密検査から基板検査、塗装・塗膜検査など、幅広い用途があり、鮮明さも特徴という。
例えば、工作機械の近くにセットして遠隔地から目視検査をしたり、卓上型の画像検査装置では届かない部分の画像検査をしたりできる。
また「ウェブカメラとして活用すれば、職人による技術研修・教育をリモートでできるようになります」(後藤友子社長)としている。価格はオープン(参考価格15万3000円)。
1953年11月の設立以降、光学映像機器の製造販売を手掛ける老舗。60~ 80年代に「8ミリ編集機」の分野で世界シェア1位を獲得した。また、80年代にはコンパクトカメラの生産台数でも、国内メーカーほぼ全社に対するOEM供給により世界一となった(民間調べ)。
現在もその技術を継承。工業や理化学のほか、医療、美容分野など向けに、オリジナル製品を世に送り出す。
創業者の後藤正会長は、創業時の苦労や他社が倒産する様子を見てきた経験から「輝ける中小企業」になるため、以下の3原則を掲げている。
▽経営者として、また会社として一切の見栄を排す
▽自らで考案した製品のみを作り、合理化を進め、下請け仕事はしない
▽無借金経営を原則とし、常に充分な資金的余裕ある経営を堅持する
これらを守り続けてきた結果、2度の世界一を経験し、現在は自己資本比率98%の優良企業となっている。