産業用ヒーター製造、スリーハイ(横浜市都筑区東山田)は、北海道に進出し、札幌営業所(札幌市中央区)を開設した。次世代半導体の量産を目指す「Rapidus(ラピダス)」が千歳市に新工場を建設し、2027年から量産を始めるのをにらみ、早期に現地進出することで産業用ヒーターの需要を開拓していく。神奈川以外での営業所設立は1990年の会社設立以来初めてという。
ラピダス新工場にらみ需要発掘
同社が製造販売する産業用ヒーターは「シリコンラバーヒーター」が主力。設備や配管、機器などの保温・加熱に用いられる。
例えば、融雪用ヒーターやペール缶・一斗缶ヒーターなど、用途に応じて数千種類におよぶ製品をラインアップ。中でも半導体装置向けが多く、全販売量の10~20%になっており、年々伸びる傾向にあるという。
今回設立した札幌営業所は、JR線・札幌駅近く。当面は人員を常駐させず、男澤誠社長や社員が週替わりで担当する。同社の取引先は東北・北海道に多いため、まずは現地の得意先回りや新規顧客の開拓を進めていく。
男澤社長は「道内の企業は(ものづくりを)地元で完結したいと考えていることが多いようです。まずは現地でのネットワークを構築し、半導体産業への参入を狙っていきたいです。当社のような専業メーカーがいないため、市場はブルーオーシャンだと思っています」と話している。
また、寒冷地である北海道に拠点を構えることで、産業用ヒーターのさらなる用途開拓や新製品開発にもつなげる。
■「盛り上がり実感」
ラピダスは、自動運転やAI(人工知能)など大量のデータを瞬時に処理する分野に欠かせない先端半導体の国産化を目指し、トヨタ自動車やNTT、ソニーグループなどが出資して設立された企業。ラピダス進出を受けて地元・北海道では、関連産業の集積も始まっている。
男澤社長は「実際に現地に行ってみると、盛り上がりを実感します。当社も『攻めの営業』をすることで、顧客を増やしていきたいです」と話している。