戸建て住宅販売、建新(横須賀市小川町)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を強化する。これまで難しいとされてきた建設現場の管理を、クラウドシステムに移行。協力業者も含めて工事中の現場情報を逐一共有することで、作業間の伝達漏れなどを防止。工期と残業時間を、それぞれ平均25%減少させた。
建新、伝達漏れ防止で生産性向上
同社の建設現場では、1現場当たりで、基礎工事や屋根、左官業者など最低でも30社が関わるという。これまでは現場監督がエクセルで工程を管理。進ちょくや工程変更などの情報は都度、電話かファックスなどで連絡していた。
ただ、前の工程が終わらなければ、次工程を引き継ぐ業者が作業に入れない。伝達漏れもたびたび起こるため、現場監督や協力業者が確認のために現場に足を運ぶことも頻繁にあったという。結果的に、これが残業の原因になり、無駄な経済損失を生んでいたという。
そこで同社は昨年4月からDX化を推進。協力業者も巻き込み、スマートフォンで、いつでも、どこでも現場の進ちょくが確認できる専用アプリを導入。現場に関わっている業者で情報が共有できる仕組みを構築した。
スマートフォンを持っていない職人に対しては、操作が簡単で安価な商品を案内するなど、協力業者全てに協力を依頼した。
■120日から90日に
専用アプリでは、現場名を入力すると、現段階での作業状況が表示される。チャット機能も付いているため、連絡事項を確認したり、急に変更された図面や仕様書をアップロードしたりできる。そのため、伝達漏れもなくなった。複数の現場を掛け持つ協力業者にとっても、次の現場に入るタイムスケジュールが見通せるため、生産効率がアップしたという。
松嶋和博COOは「今までは直接会うか、電話などでしか情報を伝えられなかったため、互いの時間に左右されていました。しかしクラウドで情報共有すれば、時間に関係なく相手に伝えられます」と話しており、これまで平均120日かかっていた工期も90日まで短縮できたとしている。