プラスチック成形、東邦プラテック(川崎市宮前区潮見台)は、地元のスタートアップ企業が開発した工程管理システムを新規導入した。化学業界向けの中小企業専用システムだが、第1号ユーザーとして実用化に協力した。現場のデジタル変革(DX)を進め、納期などの管理能力を強化することで、医療や食品関連の容器など付加価値の高い分野を開拓していく。

地元企業開発のシステム導入

導入したシステムは、Sotas(ソータス、同市幸区新川崎)の受発注・生産・在庫管理システム「Sotas工程管理」。

東邦プラテックでは従来、パソコンの表計算ソフトにより受注情報や納期を管理し、手作業でスケジュール表(ガントチャート)を作成していた。

同システムの導入に当たり、現場がなじみやすいことを重視。ホワイトボードのような「看板」に製品名や顧客、納期、数量、金型番号などを入力し、看板とガントチャートを切り替えることで、現場の「今」が容易に見える化できるようになったという。

もともと化学業界向けシステムのため、射出成形に必要な数百種類の樹脂ペレット材料の在庫・発注管理も容易に行える。そのため、情報管理にかかる手間を大幅に削減。顧客への的確な納期の回答や、特急仕事の割り込み処理など、工程管理能力の向上につなげた。

システム導入を機に社員のITスキル向上にも取り組んだという。

■“五感”に応える

今後は高精度な部品成形技術とDX推進による管理能力の強化をアピール。主力の音響機器向け樹脂部品成形のみならず、樹脂製品の外観が重要な医療品容器といった新分野からの受注を狙っていく。

「寸法公差を守るのは当然です。数字に表れない色合いや手触りなど“五感”の要求にも応えられます」と、三枝宏徳社長は話している。

(2024年1月号掲載)