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犬のリゾートホテル、大人気

犬のリゾートホテルが大盛況─。デルタ(川崎市幸区小倉)は、犬のQOL(生活の質)向上を目的とするペットホテルを展開する。“ケージフリー”で24時間スタッフが常駐。限られた頭数の犬を一頭一頭大切に預かる。「犬のリゾートホテルを目指しています。大好きな飼い主と離れる寂しさやストレスを少しでも減らせたら」と佐々木雅貴オーナー。開業から2年半。今では一時預かりと宿泊で年間3000頭を預かるまでに。リピート率は9割近い。

飼育放棄解決にもつなげる

預かる犬たちは、相性を見て滞在エリアを区分。散歩中や遊んでいる中で気が付いたことは飼い主のお迎え時に報告する。その際、家でできるトレーニングの紹介や、併設の犬のしつけ教室でのトレーニングも提案する。また、希望すればLINEで1日2回、飼い主に滞在中の愛犬の様子を連絡する。

利用料は犬の体重によって異なるが、一泊24時間で6600円から。別途料金で、送迎や早朝か深夜のチェックイン・チェックアウトも可能だ。

■犬のQOL向上を

同店は、ペットホテルだけでなくサロンも併設。近くでは「犬の学校」も運営する。ペットサロンでシャンプーやカットをする際、全身くまなく触れることでささいな異変にも気づくことができるという。

一方、犬の学校では、「パピー(子犬)」「成犬」「お悩みのある犬」向けにクラスを設け、預かり中やトリミング時に行動が気になった犬を、しつけ教室でトレーニングできるようにもしている。

問題行動があるために「預かり施設で断られてしまう」と相談に来る犬も、トレーニングを受けることで、預かりや宿泊もできるようになってくるという。

佐々木オーナーは、「犬のQOLを向上させることで、一頭でも多く飼育放棄を減らしたいという思いでやっています」と話している。

■社会も変える

今では15歳未満の子どもよりも、飼育される犬猫の数が多く、それに伴ってペット預かり施設も増えている。

しかし、ケージでの預かりや夜間にスタッフがいないことなどから、仕事や旅行、冠婚葬祭でやむを得ない場合でも、預けることに後ろめたさを感じる人が少なくないという。

もともと、大手モーターメーカーで研究職をしていた佐々木オーナー。一から勉強を始め、ペットの保護団体でのボランティア活動を経て独立した。「犬の飼育放棄が社会問題化している現実も、事業を通じて解決したい」との思いもある。

同じ志を持つ仲間も増やしたいと、開業支援事業も始めた。ペットホテル開業希望者向けに、毎週1回、全24回のセミナーを開き、「犬の知識」「経営の知識」を講義。同店で半年間の実務経験を積んでもらっている。

(2022年6月号掲載)