金属加工・樹脂加工・その他加工

父から子へ…高精度の切削加工を磨く 顧客と事業を拡大

澄川精密(東京都大田区南六郷)は、大物の金属部品でも高精度に仕上げる切削加工技術を持ち、半導体製造装置や工作機械のベース部品などを数多く手掛けている。1994年の創業からフライス盤、マシニングセンタ加工を中心に事業を拡大。周辺の廃業した工場の不動産を取得し、現在は大田区内に6工場を構える。62歳の澄川勉社長から34歳の澄川誠専務への事業承継を準備しており、食品加工機械など新分野への展開も進めている。

試作品の即日納品、若者も戦力

同社は社員13人と社長、専務で20台以上の工作機械を活用。横型マシニングセンタや中ぐりフライス盤を備え、幅600ミリメートル×奥行き2000ミリメートルまでの大物加工を得意とする。

また、事業再構築補助金を活用して導入したばかりの縦型5軸加工マシニングセンタなど、小物部品の高精度加工にも対応する。

1個単位の試作品から量産まで、顧客の要望に幅広く応じ、試作品の即日納品もコストはかかるが可能だ。周辺に熱処理や表面処理の工場が集積しているため、大物の構造材の切削から表面処理まで2日で一括対応できるという。

高精度な加工は、社長をはじめとするベテランが部品の固定方法や温度管理などのノウハウを蓄積しており「1メートルを超える大物部品でもプラスマイナス100分の5ミリメートル以内の精度で仕上げます」(澄川誠専務)という。

未経験で採用した20歳代の社員は5人いる。コンピューターやプログラミングに抵抗がないため、加工精度は高いが動作のプログラムが複雑になる5軸マシニングセンタを導入。若手からベテランまでの戦力化を進めた。

顧客は半導体製造装置や工作機械、ロボット、航空機、医療機器など幅広い業種の約100社を擁する。

創業当初は親会社1社に依存していたが、顧客の調達方針の見直しやリーマン・ショックで売り上げが激減。新規顧客開拓を進めるとともに、澄川誠専務が12年に21歳で入社すると、それまで手作業だった経理や顧客・工程管理を自作プログラムでIT化、ホームページを立ち上げて情報発信するなど、多数の顧客に対応する態勢を整え、親子で事業を拡大してきた。

専務への事業承継はすでにタイミングを図っている段階で、「内需向けで安定している食品加工機械分野の開拓を目指します」(同)と新たな一手も打ち出している。

(2025年6月掲載)