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漢方薬送るデバイス実用化へ

デバイス+漢方薬の新しい可能性-。医療機器開発のOHGA SMART THINGS(大賀智聯網、新北市)は、薬液を霧化して気管支や肺に送るネブライザー(吸入器)を利用し、漢方薬を効果的に吸収させるデバイスの開発を進めている。早ければ今年末までに完成、事業化を目指す。

台湾OHGA、ネブライザーを使用

同社は重さ45グラムという世界最軽量クラスの小型ネブライザーを製造販売する企業。ネブライザーはぜんそくなどの治療薬を超音波で細かい霧状にして放出するものだが、同社の場合、超音波式ではなく「メッシュ式」を採用。同方式は、運転音が静かで、より細かい粒子(5マイクロメートル)を噴霧することが可能という。

開発中のデバイスは、こうしたネブライザーの特徴を生かし、濃縮された漢方薬(液体)の専用カートリッジを装着して使用する。不眠症治療や気管支系など、症状に合わせ異なるカートリッジをそろえる。カートリッジは1回使い切りタイプを想定しており、現在、台湾の大手漢方薬メーカー、天明製薬と共同で開発に当たっている。

「通常、漢方薬は飲んだり、食べたりして摂取しますが、デバイスを使う方法はありません。おそらく、世界でも初めてでしょう」と李正星社長。今後は台湾国内での治験などを経て製品化。その後は日本や欧州でも普及させたい考えだ。

(2021年1月号掲載)